本来、この高機動車は日本国内で解体されるはずでしたが、タイの男性が日本の業者から購入し、タイに輸出してしまいました。
素人目にも自衛隊か軍隊の車、所有のタイ人「日本の国もわかっていたはず」…高機動車流出
- 鉄くずとして処理されるはずの自衛隊車両が海を渡り、タイにあった。現地で本紙記者が確認した車両は、陸上自衛隊の装備品として転売が禁じられた高機動車だった。所有者のタイ人男性は日本の業者から買い取って解体、輸出した経緯を語り、「陸自のルールは知らなかった」と戸惑いを見せた。(河津佑哉、丸山一樹)
ざっくり流れ
- タイの男性は関東地方で自動車解体部品の販売を手掛けており、関東の業者が陸上自衛隊駐屯地から落札した高機動車2両を、業者から約90万円で購入。
- ドア、タイヤ、エンジンなどを外し、コンテナに詰めて、タイへ輸出した。
- 簡単な作業で再度組み立てられ、動く状態となり、一台は自分たち家族が使う用に、もう一台は約100万円で売却。
- 男性はこの車でキャンプなどを楽しんでおり、父親の葬式でも使用した。
違法性はないのか
記事によれば、法律にはそのようなことを禁止する項目はなさそうではあるが、自衛隊が定めたルールには逸脱するとのこと。
売払いに当たっての事前措置
防衛省所管物品管理取扱規則(平成18年防衛庁訓令第115号)第31条によるものとし、陸上自衛隊の使用する標識、その他の製品の標示、銘板、部隊標示及びこれらに類似したものは全て抹消又は除去する。次のアに掲げる物品(構成品を含む。)は、解体して売り払わなければならない。
この場合においては、前各号によるほか、イからエのとおり実施する。
ア 対象となる物品
(ア) 防衛専用品(自衛隊の任務遂行のためのみ開発又は調達され使用している装備品等)
(イ) 防衛専用品以外の物品
略イ 解体等の措置
(ア) 前項に該当する物品(以下「解体対象物品」という。)は、そのまま使用できないか又は復元できないよう破壊、切断等の措置を行う。この場合において、保全上必要な部位又は悪用されるおそれのある部位は完全に破壊する。略
ウ 解体対象物品の解体を業者に行わせる場合の要領
不用決定した物品(供与品を除く。)の売払いについて(通達)
(ア) 管理官は、原則として解体対象物品の解体に係る役務調達要求書と、解体後に発生する鉄屑等に係る売払請求書に区分して契約担当官に提出するものとする。
このように、陸上自衛隊の通達によれば、防衛専用品はそれが使用されることのないように、ちゃんと破壊、切断等してスクラップ状態にちゃんとしてくれよな!ってことになっており、また「管理官」はしっかりスクラップ状態になってるところまで管理すること。ってなっているにも関わらず、手抜きをした結果がこのザマなんだと思います。
情報流出防止に対する意識の低さ
自衛隊の装備というのは、機密情報の塊だと思うのですが。。。それを民間に解体から依頼するところからして、ザルだなと思いますが、百歩譲って依頼するのであれば、ちゃんとスクラップ状態であるかどうかくらいは最後に確認して欲しいところ。(一応、写真では確認することになっているっぽいですが)
また、記事では、輸出の際に、車両を入れたコンテナ内部の写真を日本の税関に送ったとあるので、そこのチェックもすり抜けてしまってますね。
いずれにせよ、スクラップ状態にせず、転売してしまったこの最初の落札業者には、損害賠償請求をするなどして、しっかりと責任追及して欲しいところ。
併せて、陸上自衛隊に限らず、自衛隊には「不用品」処分に対する、厳格な情報統制を仕切り直してお願いしたいですね。
(2023/9/17 9:00追記)なんと日本に「逆輸入」された車両も
高機動車は耐用年数(14年)を過ぎて入札で売り払う際、悪用を防ぐため、陸自は破壊して再使用できなくすることを落札者に求めている。本紙は今年2、3月に栃木、長野両県で逆輸入された2両を確認した。自家用のナンバーを付け、形状や各部の特徴が陸自の高機動車と一致。運輸局に情報公開請求した結果、輸入の際に税関が発行した自動車通関証明書が開示された。
略
防衛装備庁に2両の写真や動画を示すと「外観上の類似性は認められるが、自衛隊が売り払った車両と同一か判断するのは困難」と答えた。
陸自の高機動車流出、日本に「逆輸入」された車両も…自家用ナンバー交付
栃木で発見されたのは、約1500万円で中古車店で販売されているのが発見。
フィリピンのオークションで購入したようで、さらに驚くべきことに、2019年4月に日本において、自家用車としてナンバー登録もされてました。
(意識低すぎでしょ。公務員の目を何人も通過している気がするんですけど、誰一人声をあげなかったんでしょうね。。。)
長野で発見されたのは、約3600万円で中古車店で販売されている車両。
こちらも、2020年5月に日本における自家用車としてナンバー登録がされていたとのこと。
防衛装備庁も、こうやって答えるしかないですよね。認めれば、ちゃんとスクラップまで確認していなかった、自分たちのせいになりますから。。。
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